
中学生でも、英語が得意なお子さん、私立中で英語学習が非常に盛んな学校の生徒さん、帰国子女や留学を視野に入れていらっしゃるお子さん等、英検2級を目指している方もいらっしゃると思います。ただ、本来英検2級は「高校卒業程度の級」とされているため、学校ではまだ習っていない語彙や文法も出題されています。
「どこまで先取りすればいいの?」と迷う方も多いと思いますが、そんなときには、まずは2級のレベルと現在の自身のレベルをしっかりと把握して、その後、語彙・長文・ライティング・リスニング・面接の順に、必要なところから学習を進めていくことが大切です。
この記事では、その具体的な進め方をご紹介します。
中学生にとって英検2級が難しい理由
中学生で2級を目指す背景はさまざまです。ただ、英語力が平均以上あるお子さんであっても、得意な技能と手薄な技能は一人ひとり違いますし、英検もこのレベルになってくると単に英語力だけではない難しさが出てきます。
学校ではまだ習っていない語彙・文法が多い
英検2級は、日本英語検定協会が「高校卒業程度」の目安としている級です。中学校の授業だけではまだ十分に触れていない語彙や表現も含まれるため、中学生にとっては初めて見る英文や言い回しに出会う場面も多くなります。
だからこそ、高校英語を最初から全部学ぶのではなく、過去問で必要になった語彙・表現・文法事項から補っていく方が進めやすいでしょう。
長文では内容を素早くつかむ力が必要
一次試験は、リーディングとライティングを合わせて85分で解きます。長文の語句空所補充や内容一致選択では、環境や医療、テクノロジーなど社会性のある話題の英文を読むことになります。
社会的な知識が前提にあること。また、知らない単語があっても、前後の流れから内容を推測しながら読み進める力が求められます。また、イチイチ日本語に訳すという方法だと85分では間に合わないというケースも考えられます。
ライティングでは「知っている英語」を自分で組み立てる力が求められる
ライティングは、英文要約(45〜55語程度)と意見を述べる英作文(80〜100語程度)の2題で、どちらも記述式です。
選択肢から選ぶ問題とは違って、単語や文法を自分で選んで順序立てて文章にしなければなりません。意見を書く問題では、主張と理由のつながりも見られます。基礎的な表現でも書ける部分はありますが、ふだん英文を書く経験が少ないと、知っている単語を使って文を組み立てるところで手が止まってしまいやすくなります。
たとえ英語が得意、というお子さんであってもライティングは苦手というケースはよくあります。まずは自分の実力を確かめ、足りない部分を見つけることが、効率よく準備を進める出発点になります。
中学生の英検2級対策は「現在地の確認」から始めよう
英検2級の勉強は、参考書を1ページ目から進める前に、いまの実力を確認するところから始めてみましょう。
中学生は学校で習っていない範囲があるのが普通なので、「どこまで解けて、どこで止まるか」を知っておくと、勉強する内容を必要なものだけに絞れます。
まず過去問を解いて得意・苦手を確認する
最初に、過去問を1回分、本番と同じ流れで解いてみてください。日本英語検定協会の公式サイトでは過去問を公開しています。一次試験は、リーディング・ライティング85分とリスニング約25分という構成です。
最初は点数が低くても心配いりません。見るのは合否ではなく、大問ごとの正答数です。語彙・文法の大問1、長文の大問2と3、ライティング、リスニングのうち、どこで失点が多いかを把握することが大切になってきます!
準2級レベルの語彙・文法に穴がないかチェックする
2級で間違えた問題は、2級の知識が足りないのか、準2級以下の基本でつまずいたのかを分けて見直します。たとえば、時制や関係代名詞、不定詞・動名詞の使い分けなど、中学で習う内容の間違いが多い場合は、そこを固めるほうが先です。
逆に、中学内容はほぼ解けていて知らない単語や表現だけで落としているなら、語彙を中心に進める判断ができます。
リーディング・ライティング・リスニングのどこを優先するか決める
弱点が見えたら、取り組む順番を決めます。合否はスコアで判定され、各技能は650点満点とされているので、1つの技能だけが極端に低いと全体に響きやすくなります。
ここで学習のポイントとしてお伝えしたいことがあります。それは、「得意な技能をさらに伸ばすより、いちばん得点が低い技能を引き上げる」ということに着目することです。90点→100点にするよりも、60点→70点にするほうが楽、というのがその理由です。
もしも可能でしたら、保護者さまには、点数だけを見るのではなく、「どの技能から手をつけるか」をお子さんと一緒に決めてあげる、といったサポートをしてあげて欲しいと思います。
中学生の英検2級勉強法① 語彙・熟語を増やす
英検2級のリーディング大問1は、短文の空所に入る語句を4つから選ぶ形式で17問出題されます。単語と熟語の知識が得点に直結するため、中学生が高校レベルの内容を補うときも、最初に手をつけやすい分野です。
なお、長文やライティングでも語彙は必要になるため、ここで増やした語彙は他の分野でももちろん大いに活用ができます!
英検2級レベルの単語を毎日少しずつ覚える
まずは、1日に覚える数を決めて少しずつでも「継続する」ことを大切にしてください。目安は1日10語前後ですが、無理ならば3語、5語から始めても良いです。短い時間でも毎日触れるほうが、学習効果は高いです。
また、出題される単語の傾向を、過去問で確認しておくことも大切です。現在、英検2級では、リーディングの最初に短文の語句空所補充が17問あり、語彙や熟語の知識が問われます。日常会話だけでは出会いにくい語もあるため、まずは2級向けの単語集を少量ずつ進め、過去問で出会った語も追加していきましょう。
意味だけでなく英文の中で使い方も確認する
単語は「英語と日本語の意味」を1対1で覚えるだけでは、問題で使いにくいことがあります。大問1は空所の前後から判断する問題なので、例文ごと覚えると解きやすくなります。
熟語も同じです。たとえば「look forward to」の後ろに動名詞が来るように、一緒に使われる語の形まで例文で確認しておきましょう。品詞(名詞・動詞・形容詞・副詞)をあわせて意識すると、空所に入る語を絞りやすくなります。
覚えにくい単語は何度も出会う仕組みを作る
一度覚えた単語も、数日たつと忘れてしまうのは自然なことですので、「あー全然思い出せない」とイライラしないでくださいね。
間違えた単語や、なかなか覚えられない単語には印をつけ、時間をあけて何度も確認する流れを作れば全く問題ありません。具体的には、単語テストで間違えたものだけを別のノートや単語帳にまとめて、翌日・3日後・1週間後に見直す方法があります。
こうした小テスト形式の手法を取り入れて、まだ定着していない語だけを繰り返して触れていってください。必ず、そのうちに覚えられますので大丈夫です。
中学生の英検2級勉強法② 高校レベルの文法を先取りする
中学英文法をまず確実にする
英検2級は、日本英語検定協会が「高校卒業程度」と位置づけている級です。とはいえ、高校文法はいきなり新しいことばかりが出てくるわけではなく、中学で習った時制・不定詞・動名詞・現在完了・受け身・関係代名詞などの上に積み重なっていきます。
ですので、中学校で学ぶ英文法の知識は英検2級でも非常に大切です。たとえば「現在完了の継続と経験の違いがあいまい」「関係代名詞のwhoとwhichで迷う」といった状態だと、高校文法を足しても長文や英作文でつまずきやすくなります。まずは中学の問題集で、間違えた単元だけをやり直しておくと安心です。
高校文法を全部覚えてから受験する必要はない
2級の長文やライティングでは、中学校で学んだ文法だけでは読み取りにくい表現に出会うことがあります。ただし、高校文法をすべて同じ重さで覚える必要はありません。
過去問を解いて、どの文法で間違えたかを確認するところから始めましょう。現在地がわかれば、足りない分野だけを学べばよいので、勉強の量をむやみに増やさずにすみます。
長文や英作文で必要になった文法から身につける
英検2級レベルの文法は、必ずしも教科書の順番どおりに進めなくても大丈夫です。過去問や問題集で「この文の構造がわからない」「こう書きたいのに表現が出てこない」と感じた箇所を手がかりに、その文法を調べて例文ごと覚えていく方法の方が、中学生には取り組みやすいと思います。
文法書を一冊読み切るよりも、使う場面とセットで覚えるほうが、定着しやすいと感じる生徒さんも多いように感じます。
中学校の文法をまずは確実に身に着けることを重視してください。仮定法や過去完了など、中学英文法がしっかりしていないうちに学習してもかえって混乱することがあります。
中学生の英検2級勉強法③ 長文読解に慣れる
英検2級のリーディングには、長文の語句空所補充(計6問)と、長文の内容一致選択(8問)があります。中学生は未習の語彙や表現がある分、読むのに時間がかかりやすいため、長文には段階を踏んで慣れていくのがおすすめです。
最初からすべての単語を日本語に訳さない
知らない単語に出会うたびに辞書を引いたり、一文ずつ日本語に直したりすると、文章の流れがつかみにくくなります。まずは意味が分からない単語に印をつけて、そのまま最後まで読み進めてみましょう。
読み終えたあとで、印をつけた単語のうち文章の理解に関わるものだけを調べます。何度も出てきた単語や、意味が分かると内容がつながる単語を優先すると、語彙の学習にもつながります。
段落ごとの要点をつかむ練習をする
1つの段落を読んだら、「この段落は何について書いてあるか」を日本語で一言にまとめる練習をします。長文の空所補充は1つの段落に1つの空所があることが多いとされているため、段落ごとの要点をつかむ習慣は空所補充にも役立ちます。
空所補充では、空所の前後の文のつながりも手がかりになります。「しかし」「だから」「たとえば」といった接続詞を意識しながら読むと、選択肢を絞りやすくなります。
内容一致選択では、設問が基本的に英文の流れに沿って並ぶため、読んだ段落と設問を対応させながら解くと答えの根拠を探しやすくなります。ぜひ試してみてください。
中学生の英検2級勉強法④ ライティングを早めに始める
英検2級のライティングは、中学生にとって準備に時間がかかりやすい分野です。読む・聞くと違って、知っている単語や文法を自分で選んで書く必要があるため、語彙や文法の学習と並行して少しずつ書く練習を始めておくと、後から慌てずにすみます。最初は短い文を書くところからで大丈夫です。
要約問題と意見論述では必要な練習が違う
2級のライティングは、英文要約と意見論述の2題です。要約は英文の内容を45〜55語でまとめ、意見論述はトピックについて自分の意見と理由を2つ、80〜100語を目安に書く、という指定になっています。
要約問題では、自分の意見は入れません。あくまでも本文の要点を自分の言葉でまとめていきます。本文の表現をそのまま写すのではなく、段落ごとの要点を短い文にして、つなぎ言葉でつなぐ練習が役に立ちます。また、練習の段階から語数を数えて指定語数になっているかどうかを計る習慣をつけておきましょう。
意見論述では、社会的なトピックについて、自分の考えとその理由を組み立てる練習をします。意見を持つための材料として、日頃からニュースなど身近な話題を日本語で考えてみるのもひとつの方法です。
日本語でニュースを見て意見をまとめる。これは遠回りなようですが、最終的には合格に必要な要素ですので、効果があります。ぜひ試してみてください。
書き方の「型」を身につける
意見論述は、意見、理由1、理由2、結論という流れで書くのが基本とされています。たとえば「I think that…」で意見を述べ、「One reason is that…」「Also,…」で理由を続け、「For these reasons,…」で締めくくる形です。
要約問題は、各段落の要点を1文ずつ、合計3文でつなぐ方法があります。このとき、「However,」や「Therefore,」のようなつなぎ言葉を使うと、文章の流れが整理しやすくなります。
型は暗記して終わりではなく、同じ型でいろいろなトピックを書いて慣れていくことが大切です。型に当てはめるだけでなく、自分の言葉で理由を説明できるようになると、書ける内容の幅も広がっていきます。
関連記事:英検2級ライティング攻略(元英語講師によるアドバイス)
中学生の英検2級勉強法⑤ リスニングと面接は「実際に英語を使う」練習をする
リスニングと面接は、知識を覚えるだけでは点数に結びつきにくく、実際に音を聞いて声に出す練習が必要になります。英検2級のリスニングは、会話の内容一致選択と文の内容一致選択が各15問、合計30問で、どの問題も放送は1回だけです。聞き直しができないので、1回で聞き取る感覚に慣れておくことが大切になります。
音読やシャドーイングで英語の音に慣れる
過去問のリスニングスクリプトを使って、音読とシャドーイングを取り入れる方法は非常におすすめです。(※シャドーイングとは、音声を聞きながら少し遅れて同じ英文を口に出す練習のことです。)
進め方の一例です。
①スクリプトを見ずに音声を聞いて、問題を解きます。
②スクリプトで聞き取れなかった部分を確認し、意味を理解してから音読します。
③音声に合わせてシャドーイングをします。
聞き取れなかった原因が「知らない単語」なのか「知っているのに音がつながって分からなかった」のかを分けて確認することも重要です。
問題の傾向を知っておくと、聞くポイントも絞りやすくなります。過去問を活用して、人物が何をしたのか、なぜそうしたのか、次に何をするのかなど、設問で問われる情報を意識して聞く練習をしておくと良いと思います。
関連記事:英検2級リスニング攻略!最短合格のための勉強法とテクニック
面接では質問を聞いて自分の言葉で答える練習をする
二次試験の面接は、60語程度のパッセージの音読が1問、質問が4問で、時間は約7分です。内容は、パッセージについての質問、3コマのイラストの展開の説明、そして自分の意見を述べる質問が2つです。
意見を述べる質問では、「Yes/No」だけでなく、理由も合わせて答える必要があります。「I think so because …」のように、まず結論を言い、続けて理由を1〜2文で添える形を、声に出して何度も練習してみてください。社会的な話題が出されることもあるため、普段から社会的な話題に関心を持つようにしてください。
3コマのイラストの説明では、1コマ目から順に、登場人物が何をしたかを過去形で話します。自分の発話は、ちょっと気が引けるとは思いますが、スマートフォン等で録音して自分で聞き返てみてください。言い詰まった箇所や間延びした箇所、避けるべき口癖等に気づきやすくなります。
面接練習は、ぜひオンライン英会話等も活用して、実際に他人と英語で話すという練習をしていってください。ご家族やお友達同士でも良いですが、出来れば「他人」と話す機会があると良いです。
まとめ|中学生の英検2級対策は「高校英語を全部先取り」しなくても進められる
中学生が英検2級を目指すときは、高校英語を最初から最後まで先取りする必要はありません。まず過去問などで今の英語力を確認し、足りない部分から補っていくことが大切です。
語彙・文法・長文は自分のペースで進めやすく、ライティングの添削や面接練習は先生など第三者に見てもらうと進めやすい分野です。無理なく組み合わせて、合格を目指していきましょう。
英検2級対策をマンツーマンで進めたい方は、スモールワールドの英検2級対策もご覧ください。
参考
・日本英語検定協会「2級の過去問・試験内容」
・日本英語検定協会「英検CSEスコアでの合否判定方法について」


