
中学生が英語を苦手に感じる原因は、単語や文法のつまずき、小学校英語との学び方の違い、授業の進度などさまざまです。会話やリスニングが得意でも、読み書きやテストの問題で困ることがあります。
そんなときは、まずアルファベット・単語・文法・「聞く/読む/話す/書く」のどこで止まっているかを確認する必要があります。
この記事では、中1でつまずきやすい3つの壁と、苦手な部分に合わせた学び直し方、小学生のうちにできる準備を紹介します。
中学生になると英語を苦手に感じる子が増えるのはなぜ?
「小学生のころは英語が好きだったのに、中学校に入ってから苦手になった」「英会話はできていたのに、テストの点数が伸びない」という方は多いですよね。
こうした変化は、英語の学び方が小学校と中学校で変わることが要因であることが多いです。ただ、英語が急に難しく感じても、本人の努力や能力だけに原因があるとは限りません。
小学校では、英語の音や表現に触れ、聞いたり話したりする活動が多く行われています。(高学年では、読むことや書くことも学びます。)ただ、英語に触れてきた時間や活動内容は子どもによって異なり、読み書きに慣れているかどうかにも差があります。そのため、中学校で同じ授業を受け始めたとき、スタート地点はバラバラなことが多いのが実情です。
中学校では、教科としての英語学習がさらに本格化します。単語や文の意味を知るだけでなく、文法に沿って英文を読んだり、自分で書いたりする力も求められます。
そのため、小学校で会話や活動を中心に英語に親しんできた子にとって、スペルや語順まで意識する学習は、慣れるまで負担に感じることがあります。さらに、中学校では英語の授業が定期的に進み、新しい語句や文法が次々に登場します。前に学んだ内容が十分に身についていないまま次の単元へ進むと、授業中に分からない箇所が増え、宿題やテストにも影響しやすくなります。
英語は、これまでに学んだ単語や文の形を使って新しい表現を学ぶため、つまずいた部分をそのままにしてしまうと、どんどん「分からない」「理解できない」という負のスパイラルに陥ってしまいます。この点は中学校英語の初期にはぜひ注意して欲しいポイントです。
また、例えば小学生時代に英語に親しみがあり得意だったというお子さんも、聞く・話す・読む・書くすべてに同じように自信があるとは限りません。
よくあるのが、「会話は楽しめても、英文を書くことに抵抗がある」パターンです。また、反対に、文法問題は解けても、英語を声に出す場面で緊張する子もいます。
このように、中学生が英語を苦手に感じる背景には、小学校との学習方法の違いや、授業の進度、技能ごとの得意不得意があります。「英語ができない」とひとまとめにせず、どの学習や場面で困っているのかを見ることが、つまずきの把握につながります。
英語は一口に「英語」といっても読む・書く・話す・聞くの4つの技能があります。お子さんによって得意分野、不得意分野があるのはごくごく自然なことです!まずは「全部が出来ないわけではない」と客観的に捉えて焦ってしまわないようにしてください。
中1英語でつまずきやすい第一の壁|小学校英語とのギャップ
小学校で英語に親しみ、「あいさつや簡単な会話ならできる」と感じていた子が、中学校に入って急に苦手意識を持つことがあります。
注意したいのは、だからといって「小学校で身につけた力が役に立たない」というわけではありません。中学校では英語を学ぶ目的や求められる取り組み方が変わります。そのため、小学校の学習経験だけでは、中学校の授業や定期テストにもすぐ対応できないということがよくあるのです。
小学校でも英語は学ぶが、中学校では「正確さ」がより求められる
現在は小学校3・4年生で外国語活動、5・6年生で教科としての外国語を学びます。小学校でも、聞く・話すだけでなく、アルファベットや単語の読み書きに触れる機会があります。
ただし、学習内容や経験には個人差があり、文字を見たり書いたりしたことがあっても、単語を正確につづる力まで十分に身についているとは限りません。
一方、中学校では、教科書の英文を読み、文の決まりに沿って書き、テストで正確さを確かめる場面が増えます。たとえば、単語のつづりや文の語順、文頭の大文字、文末のピリオドなど、会話では見過ごされやすい点も意識してテスト等で解答をしていく必要があります。
小学校で英語を楽しめていた子が、こうした「細かな正確さ」を急に求めらて戸惑ってしまう、というのがよくあるケースになっています。
話せる・聞ける子でも読み書きや文法でつまずくことがある
英語の歌や会話に慣れていて、聞いた表現をまねして話せることと、自分で英文を読んだり書いたりすることは、別の能力です。音で覚えた単語を文字に直せない、知っている表現でも語順が分からず文にできない、という躓きを多くの中学生が経験します。
ただ、強調しておきたいのですが、だからといって小学生時代の「楽しく英会話」を実践した経験が無駄だったという意味ではありません。
どちらかと言えば、「中学生になったことで、今まで身につけた「聞く・話す」力を生かしながら、文字と文の形を結びつける学習が必要になった」と捉えて頂けると良いと思います。
保護者の方にもぜひ覚えておいて頂きたいのですが、英会話は得意なのにテストの点数が伸びない、というときでも、英語全体ができないと決めつけずに、冷静に「読み書きのどの段階で困っているか」を見てあげてください。
幼児・小学生のころから英語を習ってきたのに、お子さんが中学英語で苦労していたらちょっとショックですよね。でも、だからと言って今までの英語学習が無駄だったというワケでは絶対にありません!まずはその点を良く理解してあげてください!
中1英語でつまずきやすい第二の壁|単語・文法の量と授業スピード
中学校では、英単語や文法を新しく学ぶだけでなく、覚えた知識を使って英文を読んだり書いたりすることが多くなります。授業で扱う英文法や熟語などの量も増えていきます。テスト対策として、英単語や熟語の暗記・課題等に追われて、文の仕組み等、重要な部分を曖昧にしたまま進んでしまうということがあります。
小学校の英語との違いに加え、学習量と授業の進み方が負担になり、英語が苦手だと感じる生徒もいます。
中学校で覚える英単語は一気に増える
中学校では、教科書や授業で扱う単語が増え、意味を知っているだけでなく、英文の中で読んだり、つづりを意識して書いたりする場面も多くなります。
この際、単語の意味やつづりが曖昧なままだと、教科書の本文や問題文を読むときに時間がかかり、授業についていきにくくなる場合があります。
文部科学省の現行学習指導要領では、小学校で600~700語程度を扱い、中学校では小学校で学習した語に1,600~1,800語程度の新語を加えることが示されています。
もちろん、これらすべてを自由に書いたり話したりできる状態になっていなければならない、というワケではありませんが、それでも、目にする語彙が大きく増えるため、単語の定着が追いつかないことが中学生のつまずきにつながる場合があります。
一度分からなくなると、その後の文法にも影響する
英語の文法は、前に学んだ内容を使いながら新しい表現を身につけていきます。たとえば、主語と動詞の位置や疑問文・否定文の作り方が曖昧なままだと、別の文型を学ぶときにも迷いやすくなります。単語の意味が分からない場合も、文の形を理解しにくくなります。
ただ、つまずきの原因は一つとは限らないため、まずは小テストや問題集を解いた後に間違えた問題を見直し、単語と文法のどちらで困っているかということを確認して認識しておくことが大切です。単語量を増やすべきなのか、それとも文の仕組みをもう一度押さえる必要があるのか、ということを把握しておきましょう。
「分からない」が積み重なると英語嫌いにつながりやすい
授業が先へ進むと、前の内容を復習する時間を取りにくくなります。分からない単語や文法が残ったまま次の単元に進み、テストでも間違いが続くと、「何を勉強すればよいか分からない」と感じることがあります。
苦手意識が強まって手遅れ(笑)になる前に、まずは教科書やノートを見直しましょう。まずは、分からなくなった単元を具体的に振り返ることからが出発点になります。
一度、苦手意識を持ってしまうとそれを払拭するのは結構大変です。ぜひ、中学校1年生の前半までに、英語学習のコツをつかんで苦手→結構好き、という意識に変換してあげてください。
中1英語でつまずきやすい第三の壁|5つの領域をバランスよく学ぶ必要がある
中学校で学ぶ英語では、聞く・読む・話す・書くの4技能に加えて、「話す」を「やり取り」と「発表」に分けた5つの領域で学んでいくようになっていることが多いです。
そのため、単に英単語や文法を覚えるだけでなく、音声を聞いて内容をつかんだり、英文を読んで必要な情報を見つける、といった技能のほかに、英語で自分の考えを伝える、といった力も必要になってきます。話して伝えるだけではなく、英文にして(書いて)伝えるということも求められます。
聞く・読む・話す・書くでは得意不得意が分かれる
たとえば、英語の音声を聞き取れても、聞いた内容を英文で書くことには苦戦する子がいます。教科書の英文を読めても、質問に対して自分の言葉で答えるのは難しいこともあります。
「話す」領域でも、相手の質問に応じるやり取りと、準備した内容を相手に伝える発表では、必要な力が異なります。
小学校で英語に親しんできた子でも、読み書きの経験や学習内容はそれぞれ違います。中学校では授業や定期テストで複数の領域を扱うため、これまでの得意分野だけで英語全体の理解度を判断できないことがあります。
「会話は得意」「テストは得意」だけでは通用しにくくなる
会話には慣れていても、単語のつづりや語順を意識して英文を書く問題では点を取りにくいというお子さんもいますね。反対に、文法問題を解けても、音声を聞いて答えたり、即座に英語で応じたりすることに戸惑うことがあります。
学校やテストによって扱う領域や評価方法は異なりますが、英語の力を一つの得意分野だけで補うのは難しくなります。
そこで、お子さんの学習の様子を見るときには、単にテストの総合点数だけを見るのではなく「聞き取れない」「文章の意味をつかめない」「言いたいことが出てこない」「英文にできない」など、どの場面で戸惑っているのか、ということを知ることが大切です。
中学生の英語が苦手になったときの克服法
まずは、再三お伝えしている通り、英語のなかでも、具体的にどの領域でつまずいているのかを確かめてください。単語が覚えられないのか、文の語順が分からないのか、英文を読めないのかetc…によって、必要となってくる学習は変わります。
まずは「どこから分からなくなったか」を確認する
教科書や定期テスト、学校のワークを見返し、間違いが増え始めた単元を探します。
その際、「単語のつづり」「文法・語順」「長文読解」「英作文」「リスニング」など、間違いを種類ごとに分けてみると原因を見つけやすくなります。本人だけでは判断しにくい場合は、保護者の方が一緒に答案を見たり、学校の先生に相談したりすると、復習する範囲を決めやすくなります。
つまづいた単元の一つ前を確認する
つまずいた単元だけを覚え直しても、前の内容が抜けていると解けないことがあります。
例えば、「疑問文が難しい、良く分からない」という場合は、まずは肯定文の語順や主語・動詞の区別が出来ているのか、といったところから確認をしていってください。つまり、1つ前の内容までは出来ている、ということを確認してほしいのです。
間違えた問題は答えを写して終わりにせず、正解の理由を説明できるか確かめてみてください。中学校で学ぶ英文法はそれほどのボリュームではありません。焦らずにゆっくりと振り返り、1つずつ着実に定着させていきましょう。
実際に、私が中3のお子さんを指導していて、過去完了形を学ぶはずが過去形と現在完了形の違いも理解していなかったというケースがあります。そんな状況で過去完了形を教えたところで、余計に混乱するだけです。
直近のテストの成績は諦めてでも、過去形と現在完了形の学習からやり直ししましたよ!回り道に見えて、その方がしっかりと前に進むことができます。
学校の進度に無理に合わせず、理解できるところから積み上げる
授業についていけないと感じても、未理解の単元を残したまま先へ進むと、学習内容がさらに分かりにくくなることがあります。
毎日10分など、続けやすい時間を決め、復習する単元を一つずつ進めましょう。学校の課題が多くて復習時間を取りにくい場合は、優先する課題や復習範囲を先生に相談する方法もあります。すべてを一度に完璧にするより、基本問題を自力で解ける状態を目指します。
苦手な技能だけ個別に補う
英語の苦手意識があっても、技能や課題によって困っている点は異なります。
英文を読むのに時間がかかるなら短い文章を区切って読む、聞き取りが難しいなら教科書の音声を英文を見ながら聞くなど、必要な練習を選びましょう。オンライン上でも、学習ツールはたくさん存在しています。特に吟味する必要はありません。気軽な気持ちで使ってみて、相性が良ければ継続する、だめなら少しだけ使ってみて、それでもだめならば他を探してみる、という感じでOKです。
書くことが苦手な場合は、教科書の基本文を使って、単語を入れ替えた英文を作る練習から始められます。大切なのは「英語を全部やり直す」のではなく、苦手の場所を切り分けて、必要なところから補うことです。
塾選びや学習方法を検討している方は、関連記事「英語が苦手な中学生歓迎!オンライン英語塾で成績アップを目指す方法」もぜひご参考になさってください。
中1で英語が苦手になる前に小学生のうちからできること
ここまで読んで「うちの子はもう中2だから遅いのでは」等と思ってしまった方はいませんか。・・・・大丈夫です!
中学校の英語学習では、まずは立ち止まって、きちんとつまずいた場所まで戻れば十分に立て直せます。ご安心くださいね。(とはいえ、これから中学校へ進むお子さんには、小学生のうちから無理のない範囲で読み書きにも触れておくと中学英語への移行がスムーズだよ~、ということは言いたいですが)
英語を聞く・話すだけでなく読む・書く経験も増やす
ここからは、もしもお子さんがまだ小学生、という場合のケースです。ここでは、英語の歌や会話を楽しむことに加えて、短い単語や文を読む、まねして書く機会を作るといった対策を予め行っておくことをおススメします。
たとえば、身近な物の英単語を絵と一緒に読んだり、簡単なあいさつをノートに書いたりすると、聞く・話す以外の力にも触れられますし、イラストを付けてオリジナルの絵辞典を作っていくなどの作業はお子さんも楽しんで取り組めると思います。
その他、英語の絵本や小学生向けの英語ドリルを使うという方法もあります。
ここでポイントとなるのは、難しい英文を先取りすることが重要というわけではないということ。音と文字を結びつけながら、知っている単語を読んだり書いたりする経験を少しずつ重ねていくと良いでしょう。
アルファベットや基本単語を「書ける」状態にしておく
中学校では、アルファベットを使って単語や英文を書く機会が増えます。
小学生のお子さんでもローマ字はしっかり学習しますが、ローマ字と英単語では、同じ文字でも読み方やつづり方が異なる場合があるため、混乱をしてしまうお子さんも出てきます。まずは英単語を見本を見て正しく写すところから始めましょう。名前や曜日など、身近な単語を少しずつ書く練習も役立ちます。
保護者の方は、英会話教室などで身につけた「聞く」「話す」力も大切にしながら、読み書きはこれから伸ばせる力だと伝えてあげてください。
「習っていたのに書けない」と責めるのではなく、子どもの得意なことに合わせて、短時間でも英語に触れる機会を作ることが、中学校での学びにつながります。
まとめ|中1の英語のつまずきは早めに原因を見つければ立て直せる
中1の英語は、小学校との学び方の違いや単語・文法の増加、授業の進む速さなどが重なり、苦手に感じることがあります。
まずは、「英語が苦手」とひとまとめにせず、聞く・読む・話す・書くのどこで困っているか、どの単元から分からなくなったかを確認しましょう。必要に応じて単語や基本文法まで戻り、理解できるところから学び直すことが大切です。
中1でつまずいても、原因を早めに見つけて、そこまできちんと戻ったうえで一つずつ補っていけば、英語は十分に立て直せます。
最後に宣伝を少しだけ(笑)
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参考資料
・文部科学省「小学校学習指導要領(外国語活動・外国語編)解説」
・文部科学省「中学校学習指導要領(外国語編)解説」


