アメリカは移民して来た人々によって作られた国です。
アメリカで豊かな暮らしや成功するのを望むのであれば、何よりまず、英語が話せるようにならなくては、その道は開かれません。
親が英語を話せなくても、アメリカで適正な教育を受ければ、子供たちは英語を理解し、話し、書くことができるようになります。
今回の現地レポートは、アメリカへ移民してくる人たちの背景を考えながら、子供たちがどのようなサポートを学校で得て、英語を身につけて行くのかをお伝えいたします。
目次;
1.アメリカへ移民してくる子供たちの背景
2.英語を話すために。子供たちの苦労と小学校のサポート
3.英語を知らない子供たちが、どうやって英語を身につけるのか?
4.アメリカでもいろいろな角度から楽しく学ぶ工夫をしています
5.終わりに
1.アメリカへ移民してくる子供たちの背景
移民者の背景は、親の転勤の都合で移転して来る場合と、政治的・経済的な事情で生活の自由を求めてくる場合とでは、全く違ってきます。
親の仕事で移り住んでくる場合には、親に教養があり、教育も熱心であることが多く、子供も、英語がすでにできる、ということが多いです。
親は、子供たちが学校から学んでくる英語のサポートをしてあげたり、英語を子供に教えたりします。また状況によっては家庭教師を雇うなど、家庭でのサポートが行き届いています。
一方、政治的自由を求めて移民してくるアラビア語圏の家庭は「なんとか、この国で自由な生活がしたい。」という、ハングリー精神があるため、たとえ親に教養がなかったとしても、家族が一丸となって必死で英語を勉強する傾向にあります。
また、経済的な自由を求めてくる家庭が多いスペイン語圏の家庭は、その国々自体に、教育システムがあまり整っていません。
両親共に働いていたり、片親の場合も多く、一緒になって子供に英語のサポートをしてあげられる状況ではないこともしばしばです。
では、このように家庭でサポートがない子供たちは、どうやってアメリカで生きて行き、英語を学ぶのでしょうか?
その鍵は、アメリカ自治体制と教育システムにあります。
2.英語を話すために。子供たちの苦労と小学校のサポート
日本の教育水準は高いです。
ほとんどの人が、読み書きが出来て基本的な算数が出来る。
これは、日本に住んでいると、当然のことのように思えますが、一度、日本の外へ出てから日本を見ると、とても経済豊かで教育熱心な国だと、改めて感心させられます。
日本の基本的生活水準が高いので、日本の学校では、貧困家庭を対象にした内容があまり組み込まれないのは、当然のことのように思えます。
しかし、アメリカでは、富裕層が数多くいるのと同様、貧困層が底知れぬほど多くいるのが現状です。
先程触れた、自分の国で教育を受けてない移民家庭の子供たちは「学校」という場でサポートを受けて行くのです。
アメリカでは、所得が一定の基準に達していない家庭の子供たちは、無料で公立保育園へ入れる資格が与えられ、空きがあれば、朝食・昼食やおやつのサポートを受けられます。
それに加えて、学問的にも、アルファベット学習、本読みの習慣、基本的な算数の勉強、しつけ等を受けることもできます。
貧困家庭でも、この時点で子供がアメリカ教育の環境へ入ることが出来ると、普通にアメリカで育った子供たちと同様に、何の問題もなく、幼稚園・小学校へと進んで行けます。
アメリカに来るのが小さければ小さいほど、英語や文化的な問題に抵抗なく入り易く、すんなりとアメリカ学校生活を送ることができるようになります。
一方、小学生に入ってから移民してきた子供たちや、小学生の学齢になっても英語ができない場合には、ESOL(英語を外国語として学ぶクラス)へ行って、特別なカリキュラムに沿って勉強をすることになります。
スペイン語圏の子供たちの中でも、親が率先して子供をサポートする家庭は、子供が早く英語や学習環境に慣れ、ESOLのクラスから卒業し、通常クラスで他の子供たちと肩を並べて、一緒に学べるのです。
3.英語を知らない子供たちが、どうやって英語を身につけるのか?
英語を知らない子供が苦労するのは、まずは英単語が読めないことから始まります。
英語という言語は、ドイツ語やフランス語など、いろいろな言葉が入り交ざっていて、不規則な発音が多くのでリーディングが比較的難しいのです。
英語には、フォニックスを主体にした発音学習法があるのですが、この方法を利用してリーディングも学ぶと良いでしょう。
幼稚園から小学校1年生くらいまでに、きちんとアルファベットの組み合わせと発音の関係を学んでおかないと、その後、読書嫌いになってしまいます。
本を読まないと語彙量が少なく、語彙量が少ないと、話すこと・聞くこと・書くことも難しくなり、英語自体が嫌いになってしまうリスクがあります。
英語のできない初級者の子供は、少人数のESOLクラスで、英語の発音と、単語と発音の組み合わせを徹底的に指導されます。
本読みの練習は、簡単な本を選び、先生の前で10分くらいの音読をします。
発音が間違っていれば、そこで先生が直してくれます。
また、読めない単語があれば、先生のヒントとフォニックスの発音方法を使いながら、何度も練習します。
本を読んだ後には話の内容をまとめて書くように求められ、その読解力と作文力も養われます。
このような学習が続くと、次第に子供たちは、自然に英語が理解でき、とまどうことなく話すことができ、難しい作文内容にも対応できるようになります。
そして、ESOLのクラスを卒業するのです。
4.アメリカでもいろいろな角度から楽しく学ぶ工夫をしています
これまで紹介したのは基本的な英語学習法でした。
でも、アメリカはエンターテイメント大国です。
楽しいと思わせることを取り入れるのが得意です。小学校でも、いろいろな角度から英語を学ぶ方法を考えています。
例えば、ゲームを取り入れた学習方法は、ビンゴ(BINGO)やマッチングゲームです。
通常の授業をした後、子供たちに「息抜き」を与えているように見せかけて、こういったゲームを使い、ちゃんと勉強させています。
また、面白そうなトピックについて、グループで話し合い、アメリカ社会で良く求められる「自分の意見を述べる」ことを練習させたり、周りと話し合うことによって、英語の会話部分も身につけさせるのです。
6.終わりに
移民者にとって、アメリカで生きていくことは、とても大変なことです。
文化が違うだけでなく、法律も違い、言葉も違います。
でも、英語を身につけることによって、アメリカでの成功の扉は開かれます。また、いろいろと世界を見る目も変わります。
子供に英語という武器を与えて、グローバル社会で成功するための基礎固めが出来れば良いなあ、と思います。
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投稿日: Jun 15, 2018 | 閲覧数: 1609 | カテゴリー:
英語教育関連記事
日本の英語教育は、長年の課題です。
文法に重きを置き、書くことに関しては、勝っています。
ただ、外国へ行って会話をしようとしても、なかなか通じない。英会話教室へ通っても、なかなか上達しない。
日本人は、英語を話すのに、勇気がないからでしょうか?
「勇気がない」の原因を突き詰めてみると、英語の発音にコンプレックスを感じていることも、理由の一つではないでしょうか?
「ネイティブではないので、英語の発音は、上手になれない。」と、諦めてはいませんか?
今日は、私が住んでいるアメリカの小学校で実践している英語教育事情をお伝えします。
発音上達のヒントも隠されていますよ!
目次;
1.英語の発音は、自然に身につけるもの?
2.フォニックス教育って何?
3.アメリカ小学校での、英語の勉強の仕方
4.日本人の子どもが英語の発音を上達させるには?
5.終わりに
1.英語の発音は、自然に身につけるもの?
英語圏の国で育った子供たちやインターナショナル・スクールへ通っている子供たちは、英語の環境にいて、耳さえ慣れれば、ネイティブのように話せるのでしょうか。
逆に、英語環境に置かれていなくても、ネイティブ並みの英語は話せないのでしょうか。
確かに、普段から耳慣れした英語の環境の中で、英語を聞いたり、話したりした方が、日本語なまりのない英語が話せるようになるのですが、アメリカにいても、標準の英語の発音ができるというワケではありません。
たとえば地方へ行けば、「方言」や「なまり」として、会話に表れます。
「標準英語」を話せるようになるには、アメリカでも、やはり、教育を受けるからです。
2.フォニックス教育って何?
最近、耳にするようになった「フォニックス教育」。
この教育法とは、一体、何でしょうか。
フォニックスについての詳しい説明は、別記事の「フォニックス教育って何?」に説明されているので、そちらを読んでいただきたいのですが、「フォニックス教育」とは、簡単に言うと、英語の規則に従い、英文字と発音を組み合わせて憶えていく方法です。
この「フォニックス教育」は、米国で、早ければ3−4歳くらいから、保育園や幼稚園などで導入されています。
通常、小学校1年生前の幼稚園児が習うのが、一般的です。
なぜかと言うと、5−6歳の子供は、字を読み始めるため、この時期に教育すると、一番効果があるからです。
3.アメリカ小学校での、英語の勉強の仕方
幼稚園から小学校2年生くらいまで、フォニックス教育を元に、発音とスペル書きの練習をし、作文を書いていきます。
日本のようにドリル形式に覚えていくのではなく、子供たちに文字になれさせ、少しずつ発音と文字(スペル)との関連性を強化していくやり方です。
スペルが間違ってしまう、直されることはありますが、100%確実に書けることを目的とせず、発音と文字の関連性だけを重視しているので、完璧にスペルが書けなくても、良しとされます。
作文は、本人が言いたいことが伝わっていれば、そのコミュニケーション能力を評価されます。
ちなみに「フォニックス教育」といっても、小学校低学年のほとんどの先生は、この教育方法を「一つの方法」として扱ってはいますが「うちの学校はフォニックス教育をしています!」などと銘打って、子供たちに毎日フォニックスの授業をしているわけではありません。
あくまで、自然体に子供たちの発音・スペル上達の道具として、取り入れているだけです。
ただ、見た感じだと、大した発音訓練だとは思えませんが、この規則に乗っ取り、意識して発音をすることにより、標準アメリカ英語を話すことができるようになります。
4.日本人の子どもが英語の発音を上達させるには?
恐らく、日本人が英語の発音で苦労するところは、日本語にない発音が英語にあることでしょう。
例えば、英語のLとRの発音。
日本語だと、「ら・り・る・れ・ろ」なので、英語のLとRは日本人には非常に混乱する発音です。
こういった部分をフォニックス教育で確実にマスターしておけば、英語の発音が上達することは間違いありません。
発音は、生の「音」なので、どうしても書いたものを見るだけでは理解することができません。
米国で育っている私の息子たちは、「フォニックス」を取り入れているおもちゃで、楽しく歌いながら、発音を上達させて来ました。
あまり難しく考えずに、お子さんとおもちゃで聞き取って覚えるのも、楽しくていいですね。
5.終わりに
英語は生きた言葉です。
「勉強、勉強」と固く考えずに、音と文字のつながりを理解しながら、楽しく取り組んでみると苦労を感じずに上達することができます。
アメリカの低学年の子供たちも、そういった指導の元、成長してきています。
子供たちの両親は、全く英語が話せなくても、アメリカの学校教育の元で、全くアクセントのない発音で話せるようになるんです!
適正な教育を受けることで、英語圏の国に住んでいるかどうかに関わらず、英語の発音コンプレックスから免れる日が、近いうちに来るかもしれません。
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投稿日: May 20, 2018 | 閲覧数: 658 | カテゴリー:
英語教育関連記事
英語「を」言語学習として学ぶのではなく、英語「で」何かしらの内容を学ぶ、CLIL(クリル)について、お伝えします。
1.はじめに
2.CLIL〔クリル〕では算数が日本人に特におすすめなわけ
3.実践CLILの、おすすめ教材<算数編>
4.とても優れたCLIL教材は、日本のアレ!(裏技紹介)
5.おわりに
1.はじめに
前回お伝えしました、
<英語「を」言語学習として学ぶのではなく、英語「で」何かしらの内容を学ぶ>
CLIL(Content and Language Integrated Learning =内容言語統合学習)について、今回は、<サイエンス編>に引き続き、算数分野のワークブックをご紹介していきます。
算数も、やはりCLILの手法を取り入れるのに大変相性の良い分野です。
2.CLIL〔クリル〕では算数が日本人に特におすすめなわけ
算数分野は、全教科の中でも最も覚える単語が少なく、共通認識の部分が多い教科です。
ですので、CLILで活用するにはもってこいの分野です。
特に、算数が好きな子供であれば、ゲーム感覚で取り組むことができるでしょう。
また、外国のワークブックを使う場合は、カリキュラムが少し異なるのですが、たいていは日本で学んでいる内容の方が先を行くことが多いため、言語を除けば、理解が追いつかない、といった類の心配が要りません。
そういった意味でも、算数はCLILで取り入れるのにはおすすめのジャンルです。
3.実践CLILのおすすめ教材<算数編>
それでは、さっそくCLILを実践してみたい方のために、おすすめのワークブック形式の算数教材をご紹介したいと思います。
辞書で有名な出版社Collinsが作っている教材。とても簡単な短い英語で書かれていて、さらにオールカラー、ページ数も薄め。ちょっとしたアクティビティ感覚で、無理なく取り組めるフレンドリーなワークブックですが、キーコンセプトはしっかりカバーしています。どんどん演習ができて、英語も算数も、無理なく力をつけていくことができます。
こちらも、簡潔明瞭な説明で、とてもわかりやすい教材です。イギリスのカリキュラムなので、少し日本と異なり、5~7歳が対象ですが、どんなときに➕、➖、×、➗ を使うのかなど、基礎概念が小さな子どもでも理解しやすいようになっています。また、日本よりも図形の基礎に触れる時期は早いのか、図形問題も出題されています。いずれも、ゲーム感覚で楽しく進めていくことができるように工夫されています。ページ数が少なめなので、繰り返して取り組めるのも魅力です。
4.とても優れたCLIL教材は、日本のアレ!(裏技紹介)
次に、とっておきのおすすめ裏技的な方法をご紹介します。
実は、日本の普通の算数教科書には、英訳版が出ているってご存知でしたか?
この、英訳版教科書を使うのも、CLILでは非常におすすめな方法です。
東書/学校図書/啓林の三つの教科書会社のものが1〜6年生まで出版されています。
ちなみに、例えば、アメリカの算数教科書と日本のものを比較してみると、アメリカの教科書は非常に分厚く、日本の教科書は非常に薄いという違いがあります。
アメリカ式のものは、説明よりも、練習問題が目立ちます。
一方、日本の教科書は、ほかにワークブックを併用するのが普通であることから、練習問題が少なくて薄いのですが、系統だったカリキュラムで、きちんと簡潔明瞭な説明が記されています。
このため、日本の教科書の英語版は、読みものとしても、とても優れたCLIL教材だと言えるのです。
内容も図も、全く日本の教科書と一緒ですが、言語が英語になっています。
それぞれのお子さんの学校で使っている教科書に合わせて購入してやってみると、とても取り組みやすく、良い復習になるでしょう。
実際に取り組む際には、学年を1~2学年ずらしたところから始めると無理がありません。
出版社のサイトにいけば、だれでも簡単に英訳教科書を購入できます。
<東書版> Mathematics for Elementary School 1~6B
ゆとりカリキュラムに入る前のカリキュラムに沿ったもの教科書を英訳しています。
絵が少し古い感じもしますが、説明が丁寧で、お母さんの年代には馴染みのある方も多いでしょう。
<学校図書版> MATHEMATICS for Elementary school 1~6B
現行版のカリキュラムの英訳バージョンです。わかりやすい英語で、必要十分な説明がされている、バランスの良い教科書です。
<啓林版> Fun with Math
こちらは、◯年度版というように、随時アップデートされた英訳教科書を入手することができます。少し数学的思考を自ら身につけるタイプの教科書で、「どうしてだろう?」という発問や、自分の考えを表現するタイプの問題が多いので、算数が得意な子により向いている教材です。
5.おわりに
以上、二回にわたってCLILで取り組みやすい理数系分野のワークブック式教材をご紹介してきましたが、いかがでしたか?
日本の、英語を使う機会も限定された人工的な外国語学習環境で、実践的な英語を操るのは、まだあまり得意でない年代(4〜10歳)の子どもたち。
言語としての英語にフォーカスしただけでは続けにくい外国語学習でも、子どもたちが、それぞれの興味や関心の強い分野で、絵や図など視覚イメージと言葉を結びつけながら学習できる教材であれば、学習効果は断然上がります。
CLILの手法を上手に活用して、英語を自然な言葉・ツールとして染み込ませることのできる時間をぜひ作ってみてください。
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投稿日: May 14, 2018 | 閲覧数: 925 | カテゴリー:
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