前回の記事では、海外に住んでいる日本人の子供たちが、どうやって日本語能力を身につけるか、という話をしました。
今回は、子供たちが日本に帰国後、帰国子女としてどのように英語力を保持しているのか
英語・英会話力をキープするために、行っている学習方法とはどんなものか。
海外にいた頃の環境と、日本での英語環境の違いはどう?・・・といった話をしていきたいと思います。
目次;
1. 英語の「聞く・読む」は、さりげなく日常生活に取り入れて。
1.英語の「聞く・読む」は、さりげなく日常生活に取り入れて。
帰国子女が日本で英語力を実際に保持するためには、英語の4つの技能(聞く、書く、読む、話す)をまんべんなく学習する必要があります。
まずは「聞く」についてです。
聞くについては、現在、多くの無料学習ツールがありますのでそちらを活用することができます。
アマゾンKindleの英語版を購入して子供に聞かせたり、インターネットも使えますね。
以下に、年齢別の人気おすすめサイトをご紹介します。
Starfall
3歳ぐらいから始められます
BrainPOP Jr.
幼児~小学校低学年
BrainPOP
小学1年~6年
TED-Ed
小学校高学年生以上
上記は、アメリカのネイティブの子供達も使用している学習ツールで、英語でアカデミックな内容を学ぶことができます。
また、英語での字幕が出るので、スペリング学習にも役立ちます。
次に「読む」については、英語4技能(聞く・読む・書く・話す)のなかでは、一番気楽に簡単に学ぶことができるものです。
ちょっとしてスキマ時間でも、英語を読む機会は、気軽に作ることができるからです。
では、どのくらい読めば良いのでしょうか?日本語と英語の読む量の比率は?
これは、日本語の本を読んだら同じ時間だけ英語も読む、と言う感覚がベストだと思います。
もちろん、毎日2か国語で同じ分量だけリーディングをしなければ、ということではなく、もっと大きな期間、たとえば年間単位で考えればOKです。
このストーリーは日本語で、このエッセイは英語で読む、という感じで良いと思います。
2.「書く」と「話す」は、目標や頻度を定めて。
「書く」については、英語で日記をつけたり、興味のある英語版の詩や、絵本の文章を写すだけでも十分練習になりますので、とにかく書く、ということを意識すると良いと思います。目安は、半ページを週4回位。
もしくは、アメリカのオンラインスクール(コンピューターを使用しての通信教育)に通ってしまう、という方法もあります。
これだと、日本の学校に通いながら、アメリカの学校にも通っていることになり、単位を取得できるところもあります。
これは、お子さんが中3以上の場合に限られてしまいますが、アメリカの高校生向けオンラインスクールに通った場合、取得した単位は日本の高校のオンラインスクール、例えば、東京インターハイスクールにもし移行(トランスファー)できた場合、日本とアメリカ両方の高校卒業資格を取得することも可能なんですよ!
次に、4技能の最後、「話す」についてです。
実は、この「話す」についてが、一番キープをさせるのが難しいかもしれません。
なぜなら、英会話を話すには、その、話す相手がいないと、成り立たないからです。
インターナショナルスクールにいくか、インターネット上の友達と話すか。
もしくは、英会話学校に行く、という選択肢も一般的です。
例えば、自宅でも受講できるオンライン英会話を利用している帰国子女は、たくさんいます。
もし、どうしても、英語を話す機会がなかなか取れないときには、本などを声に出して音読する、という方法でも一定の効果がありますのでお試しを!
3.帰国後の選択、インター・公立小・私立小のどこにする?
帰国後のお子さんが、小学生の場合、主だった学校の行き先は3つあり、インターナショナルスクール、私立小、公立小のいずれかに属することになります。
まず、小学校は「帰国子女のための学校便覧・2017年度版」を参考にした場合、中学校に比べて、英語を保持する環境の選択肢が圧倒的に狭いです。
小学校の段階では、英語に特化した学校の数が少ないためです。
小学生の帰国子女さんは、中学生よりも、より意識を高く持って英語力の保持に取り組む必要があると言えるでしょう。
(もっとも、中学生は、今度は逆に日本語での学習で苦労する可能性が高くなるのですが。)
また、中学受験を考えている場合、小学校の3年生で帰国するとほとんどの学校では帰国子女枠が使えなくなってしまうことも知っておいてください。
多くの私立中学校では、帰国子女の受験資格を帰国後1〜3年以内に絞っています。
もしも近くにインターナショナルスクールがあり、予算も許すのであれば、インターナショナルスクールは、グローバルな環境と相まって英語と英会話を学び続けるには最適な場所となります。
ただしインターに行く場合には、場所が限られる、学費が高額、という以外にも、日本語を学ぶ機会、特に読み書きが弱くなるということが難点になってきます。
また、インターナショナルスクールは、基本的には海外から駐在で来る外国人のための学校ですので、たとえばサイエンス教育などの特色ある私立校の方が、特定の分野での教育に優れているケースもあります。
興味深いのは、公立小学校や公立中学校でも、帰国子女、また、外国人児童に力を入れて取り組んでいる学校があることです。
前述の学校便覧によると、世田谷区や港区のいくつかの学校では、「帰国・外国人児童の支援校」として、国際学級があり、日本語の補習授業を実施しているそうです。
こうした学校には帰国子女も多く集まるため、情報を収集して帰国子女が多い公立の学校を選んで、転入させる、という選択肢も検討の余地がありますね。
4.まとめ
帰国子女が英語力を保持するためには、長いスパンでの環境づくりと、家庭での親と子供が一緒になって行う取り組みが欠かせません。
親の負担になりすぎないように、アウトソース(外注)できるところは可能な限りプロに任せて、あとは、子供が楽しく学習を続けられるように気配りを怠らないことが、親御さんにできることではないでしょうか。